・十二月の世界

鍵をかけて 手袋つけて
白い息吐き 自転車漕ぎ出す

静かな空気 流れる景色
ゆるやかな陽光 思わずかすれ声

十二月の僕は
張り詰めた世界で歌を唄う

散歩中のおじいさん
僕はこれでも必死に生きてきたんだよ?


電車に乗って 手袋外す
肩で息吐き 壁にもたれる

静かな空気 流れる景色
ゆるやかな陽光 思わず微笑

十二月の僕は
閉じられた世界で過去を想う

談笑中の学生さん
僕にもかつてそういうときがあったんだよ?


静かな空気 流れる景色
射し込む西日 思わずうたた寝

静かな空気 流れる景色
まばゆい月光 思わず涙

十二月の僕は
落ち着いた世界で今日を生きる

一日が終わる
今がまた過去になる






2004作