・野狐禅

1999年に結成された二人組のアーティストです。
俺が出逢ったのは2004年。友人の紹介からでした。

「生きてもねえのに死んでたまるか」
という叫びから始まる『鈍色の青春』という歌。この歌がまずは心に突き刺さりました。


最初に感じたのは「歌か、これ?」で、さほどいいとも思いませんでした。
聴いているうちに、これは紛れもなく歌で、これこそが歌だと思うに至りました。

紹介した友人は野狐禅の歌を「生々しい」と表現していました。
確かに生々しい。その辺の人たちが避けて通っているような感情、鈍く鈍くなっていく感情を突きつけてダイレクトに表現している。その鮮烈さに俺は惹き付けられました。


現在アルバムは3rdまで出ています。
1stはとにかく熱い感情の奔流をストレートに表現した感じで、2ndは少し憂いを含んだ感じ、3rdはそれでも熱く、熱く生きていきたいんだという決意を秘めた感じがするという解釈です。

どれがいい、とかではなくどれもいい。そして三枚しかアルバムを出していないのにもう既にここには「アーティストを作品として読む」ことができる流れがあると感じます。


ミュージック的には単純なものが多かったり似通ったリズムの曲があったりとするのですが、それはそれで持ち味として捉えています。
飾らない素直さが斉藤和義氏に通ずるところがあって、具体的な例を歌詞に用いるあたりが(傾向は違いますが)バンプオブチキンに通ずるところがあるような気がしないでもないです。




少ない言葉で多くは語れませんが、何もしなければ腐っていく自分に抗ってそれでも生きたいと切望し続ける俺にとって、今最も必要なアーティストです。

2006.8.19(土)記