・斉藤和義

1993年にデビューした「ギタリスト」で、「歌はおまけ」とかつて言っていました。今はどうなんでしょう。
俺の知る限り知名度はあまり高くないのですが一部に熱狂的なファンを持っていて、俺もその一人です。

こんな時代にフォークソング、純ロックといった感じの楽曲を打ち出しています。時代を問わず良いものは良い。
十年以上音楽活動を休むことなく続けているだけあって曲の幅は非常に広いです。


レベルの高い音使いと特徴のある唄い方、素直な歌詞、等々言葉で表すのは酷く難しい玄人向けの魅力を持っています。
一度二度聞いて「この曲いいね」というよりは聞き込んでいくうちにどんどんいいところを発見できるという感じです。それは何度も聞いていると慣れ親しんだ音楽なので好きと思い込む、という現象とはまた別です。




個人的な出会いは高校のとき、たまたま聴いた曲が心に留まってそこから聴き始めました。
世の中に溢れている押しつけがましい歌は好きになれないし、単調な繰り返しで無理に聞かせる音楽なんてクソ食らえだったし、演出された歌は駄目でした。

そんな中、無理に感動させるでも、無理に熱くさせるでもなく、自然に心へ染み渡る。
彼の曲の数々に強烈に惹かれました。


酷く勝手な見解を書けば、6thまではそれでも比較的「解りやすい」曲が多く、一曲一曲を聴かせる感じでした。
7thと8thはCD全体で一つの楽曲として聴ける感じですが、玄人向け。
9thは特にいい曲がありつつも同じ傾向。
10thでうまく言えませんが何かが「変わった」気がして、その後出た数枚のシングルはどれも一つ一つが曲として素晴らしいと思えるものでした。

それで最新11thは、CD全体としても一つ一つの曲としてもいいバランスが取れていて、現状最高の一枚です。
「真夜中のプール」は何度聴いても凄いと思うし、「ハミングバード」はダイレクトに心へ届きます。「約束の十二月」「Fly〜愛の続きはボンジュール〜」も相変わらずいいし『真っ赤な海』『グッドモーニング サニーデイ』は一度目に聴いたときから「これだ」と思いました。


ただ、斉藤和義氏はライブが本懐の人だと感じます。
唄い方、曲作りなどライブで100%発揮できるスタイルなのではないかと。

ライブのDVD、CDを聴いてみるのもいいですが、やはりツアーに参加してみるといいです。
ハマれば滅茶苦茶な時間を過ごせます。歌はもちろんギター、ハーモニカ、場合によってはドラムテクニックまで駆使して熱くさせてくれます。




これから初めて聞く人にはベスト盤の『白盤』『黒盤』や最新アルバム11th『俺たちのロックンロール』をお勧めします。
個人的には5th『ジレンマ』6th『Because』もお勧めです。

聞き慣れてきたら9th『NOWHERE LAND』10th『青春ブルース』を是非。
7th『COLD TUBE』8th『35STONES』から入るのはお勧めできません。かなり玄人向けな気がします。

俺は好きですが、1st『青い空の下で…』2nd『素敵な匂いの世界』は曲が古い感じです。
3rd『Wonderful Fish』はかなり透き通った感じの楽曲で今聞いてもいいし4th『FIRE DOG』はいかにもなロックで非常に好ましいので、これもお勧めです。

解りやすい、という意味では3rd〜6thが一番解りやすいでしょう。
11thは俺的には非常に「来た」という感じなのですが。


あとカップリング曲を集めた『Collection B』の『スナフキン・ソング』は非常にいいです。
マキシシングルの『ソファ』も必聴です。


彼の魅力は語り尽くせませんが、以前「笑っていいとも」に出ているときも相変わらずテンション普通でぼーっとしてました。タモリさんの質問にも「はあ」みたいな感じで。

知らない人が見たら「なんだこの人は」って思うかもしれないけど、その自然さが、そして歌を唄ってるときの熱い姿のギャップが斉藤和義という人の魅力です。

2006.8.19(土)記